1.既存の保冷剤の課題

既存の保冷剤には、次のようなものがあります。

2.保冷剤の原理と効果の検討：畜冷能力と保持能力

①蓄冷能力

保冷剤は冷凍庫へ入れ、冷凍させて使用します。
すなわち、冷凍庫で冷たさのエネルギ－を蓄え、いわば蓄冷して、使用時にはこれを放出し保冷すると言えます。

例えば、水だけの保冷剤の場合、冷凍すると次の３段階で蓄冷します。

第1段階　：　常温の水（20度）　→　0度の水　＋　20kcal/L（放出）
第2段階　：　0度の水　→　　0度の氷（こおり）＋　80 kcal/kg（放出）
第3段階　：　0度の氷　→　　過冷された氷　（冷凍庫の温度に近づく）

この中で、最も蓄冷できるのが第2段階です。
氷は特異的に凝固熱、融解熱が大きい。例えば氷が融解するときに、潜熱として1キログラムあたり約 80 kcal (333.5 kJ)の熱を周囲から奪います。これは同量の水を0℃から80℃まで温めることができるほどの熱量です。逆に、水が氷になるとき（第2段階）には、1キログラムあたり約 80 kcal (333.5 kJ) の熱を放出して蓄冷します。このことから、凍らない状態で使用するゲル状保冷剤は、弾力感があり感触は良好だが、原理的に蓄冷能力が低く、凍るタイプよりも短時間で保冷能力を失います。一方、単なる「水＋防腐剤」の保冷剤はローコスト品として、安価のまま性能改良されずに流通してきた経緯があります。この改良版としては、ごく一部で塩類を入れて氷点を下げた保冷剤（例：－18度タイプ）が市販されていますが、用途は食品保冷であり、その性能は氷点下保冷のみを目的としたラフなものです。

　

②保持能力

一方、同一容量のエネルギーを蓄冷しても、保冷持続性能には差があります。
すなわち、保冷用途に必要な最適放出量（放出速度）で、安定的にゆっくりと保冷するのが長時間保冷の基本です。しかし、市販の保冷剤でその化学的コントロールはされておらず、冷たさ放出速度のムラが保冷時間を短縮させ、冷たすぎる感触（冷え過ぎ）や結露の原因となります。

3.新開発保冷剤と保冷ベスト、保冷サポーター

弊社で開発した保冷剤は、５～７種類の薬剤等を最適含有することにより特性を最適化させ、人体に最適な温度を長時間保持させるものです。
その特性とは、複数の化学成分により①氷点を用途に応じ適度に変化させ、別添加剤により②氷→液体の反応を極力緩やかにすることによって、冷気放出のムラを無くし長時間保冷を実現したものです。

新開発保冷剤の特長（下記動画参照）